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明日を追いかけて、アメリカ22

僕らはブルーラインという電車に乗っていた。
確か二度目の乗り換えだったと思う。
乗った瞬間に、今までの電車とは違う何かを…言うならば、殺伐とした空気を感じた。
それは、ブルーライン特有の空気なのか、はたまた、たまたま乗った車両の感じが悪かったのかわからないが、何故だかとにかく嫌な感じがしたのである。
嫌な感じが消えぬまま電車は走り出した。
座ろうと思えば容易に座れるくらい席は空いていた。というか、乗客がほとんどいなかった。それでも僕らは、電車の扉付近に立っていた。大荷物だったと言うのもあるし、なるべく人と目を合わせないようにするためでもあった。
とにかく、僕らが乗った車両は、早く降りたいと思わせる何かがあったのだ。

電車が走り始めて、数分後。
いかにもラップが好きそうな二人組が、僕等が立っていた付近に近寄ってきた。僕等が扉付近に立っていたので、そこに人が来るのは当たり前な話であるわけだが。
二人組はまだ若いように見えた。ひょっとしたら十代かもしれなかった。
その二人組が、何故か僕の隣に立っているのである。その距離僅か30センチ。
確かに僕は扉付近に立っているけど、ちょっと近過ぎる気がし、僕は思わず身の危険を感じた。
カツアゲされる…と。
僕が目を合わせないよう、そっぽを向いていると、二人組の一人が、何やら独り言を言い始めた。
僕に対して放っている、カツアゲの決まり文句かもしれない。これは無視し続けるしかないな、と無視を決め込むことにした。僕が無視を決め込んでいる間も、その男は独り言を言い続けていたのであるが、僕はそこにメロディーがあることに気がついた。
これは独り言ではない。ラップだ!完全なる本場の…ラップだ!!
その男が、何故僕の横でラップを披露し続けているのか、皆目見当がつかなかったが、独り言だろうがラップだろうが恐いものは恐いのである。

…と、不意に電車が揺れた!
その揺れに人一倍反応したのが、そのラップ男であった。
電車が揺れるのと同時な、そのラップ男は大きく揺れ、僕にぶつかってきたのである!
遂に来たか…ラップ男のカツアゲショウタイムが。
「俺様のラップを聴かせてやったんだ、金を出せ。」そんな台詞が飛び出すのではないか、と思ったが、ラップ男は、
「Excuse me.」
と言い、再びラップを口ずさみ始めたのだった。マジで超怖かった。


続く!
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